松木 リエ DipWSET
Rie Matsuki
東京 青山教室講師
ソムリエとして25年以上、東京・パリをはじめとするフランス料理店で研鑽を積み、レストランサービスの最前線で経験を重ねる。現在は麻布台ヒルズのintertWine K×Mに勤務し、接客をはじめ、イベント企画や広報など幅広い業務に携わるほか、ワイン講師として後進の育成にも力を注いでいる。豊富な現場経験と世界基準の知見を生かし、受講生一人ひとりが「理解し、伝え、楽しめる」ワイン教育を実践している。
- WSET® Level 4 Diploma in Wines
- JSA認定 ソムリエ・エクセレンス & SAKE DIPLOMA
- International A.S.I. Sommelier Diploma – Gold
- IWC (International Wine Challenge) Judge
- WSET® Level 3 Decanter Asia Wine Scholarship 受賞
- 2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
- 麻布台ヒルズ intertWine K×M勤務
講師インタビュー
ワインに興味を持った/業界に入ったきっかけは?
私がワイン業界に入ったきっかけは、学生時代に思い描いていた進路とはまったく違うところから始まりました。
就職活動ではマスコミ業界を志望していましたが、ご縁があって老舗のフランス料理店へ入社。当時はワインの知識もほとんどなく、厳しい現場に戸惑い、「自分には向いていないのではないか」と悩んだことも何度もありました。
それでも、「この環境でワインを徹底的に学ぼう」と決意し、仕事の合間や限られた時間を使って学び続けました。その積み重ねが、ソムリエとしてのキャリアの原点です。
現場で経験を重ねる中で、ワインは料理を引き立てるだけでなく、人と人をつなぎ、食卓や人生を豊かにする力を持っていることを実感しました。その魅力に惹かれ、気づけば25年以上、この世界で学び、伝え続けています。


WSETの学びの魅力はどんなところですか?
WSETの魅力は、ワインを体系的かつ論理的に学べることです。
単なる暗記ではなく、「なぜこの味わいになるのか」「なぜこの産地でこのスタイルが生まれるのか」を、気候・土壌・栽培・醸造・市場まで一つの流れとして理解できるよう設計されています。
知識が点ではなく線でつながっていくため、学びを重ねるほど理解が深まり、自分の言葉でワインを説明できるようになります。
資格取得だけで終わらない、一生役立つ「考える力」が身につくことが、WSETならではの大きな魅力だと感じています。
好きなワインの産地やスタイルは?
ワインの世界に入った頃はフランスワインを中心に学び、実際にフランスでも経験を積みました。長い歴史と伝統に育まれたフランスワインの奥深さは、今も変わらず大きな魅力です。
一方で、近年フランスの銘醸ワインが世界的に高騰する中、素晴らしい品質を持ちながら、より多くの方が楽しめるワインの価値にも改めて目を向けるようになりました。その中で特に魅力を感じているのが南アフリカです。
Master of WineのCathy van Zyl 氏に案内していただいたWalker Bay(ウォーカー・ベイ)のHemel-en-Aarde(ヘメル・アン・アード)では、雄大な自然の中で、情熱を持ってワイン造りに取り組む生産者の姿と、その品質の高さに感動しました。世界トップクラスの品質を持ちながら、まだ多くの方にとって新しい発見がある南アフリカワインの魅力を、これから伝えていきたいと感じています。
私が惹かれるワインは、果実味だけが前面に出るのではなく、酸味や旨味とのバランスがあり、余韻まで美しく続くスタイルです。特に白ワインが好きで、強い樽香ではなく、熟成によって蜂蜜や栗、黄色い果実のような複雑さが生まれるワインに魅力を感じます。
熟成したグリューナー・ヴェルトリーナーやシュナン・ブラン、ヴェルデホ、アシリティコなど、時間とともに表情を変え、奥行きを増していくワインに特別な魅力を感じています。
教えていて楽しいテーマは何ですか?
特に好きなテーマは、テイスティングとフードペアリングです。
テイスティングは、香りや味わいを「当てる」ことではなく、自分が感じたことを言葉にし、感覚と知識を結びつけていく作業だと考えています。
同じワインでも、人によって感じる香りや表現はさまざまです。だからこそ、他の方のコメントを聞くことで、自分にはなかった視点や表現に出会い、少しずつ自分自身の引き出しを増やしていくことができます。受講生の皆様にも、自分の感覚を大切にしながら、たくさんの表現に触れてほしいとお伝えしています。
また、フードペアリングも大好きなテーマです。理論をもとに組み合わせたワインと料理が、実際に味わった瞬間に一つにつながり、「本当に合うんですね!」という驚きや感動が生まれる瞬間があります。
最初は「本当に合うのかな?」と半信半疑だった組み合わせが、実際に味わうことで「ぴったり!」という発見に変わる。その瞬間を受講生の皆様と共有できることが、講師として大きな喜びです。
知識が単なる情報ではなく、実際の味わいや楽しさにつながっていく。その変化に立ち会えることが、この仕事の大きな魅力だと感じています。

授業で大切にしていることは?
授業は、一方的に知識を伝える時間ではなく、受講生の皆様と一緒に理解を深めていく時間でありたいと考えています。
オンラインで講義を行う機会も多いため、専門用語をできるだけ分かりやすい言葉に置き換えたり、大切なポイントは角度を変えながら繰り返しお伝えしたりすることを意識しています。
「なるほど、そういうことだったのか」と一人ひとりが納得しながら学びを進められること。そして、授業が終わった後に、自信を持ってワインを選び、語れるようになることを目標にしています。
これまでのキャリアの中で、特に心に残っている“嬉しかった瞬間”は?
受講生の皆様から、「ワインが以前よりずっと身近になりました」「ワインを選ぶことが楽しくなりました」という言葉をいただく瞬間です。
また、資格試験に合格された方が、その後ソムリエや講師として活躍されたり、ワインを通じて新しいキャリアを歩まれたりする姿を見ることも、大きな喜びの一つです。
ワインの知識だけではなく、その方の人生や仕事の可能性が広がるきっかけになれたと感じる瞬間に、この仕事のやりがいを実感しています。
今後、取り組みたいこと・挑戦したいことはありますか?
全国各地でセミナーを行い、より多くの方へワインの魅力を届けていきたいです。
私の目標は、ワインを学ぶ人を増やすことだけではありません。ワインを好きになって日常の中で楽しむ人を増やすことです。
ワインを楽しむ人や機会が増えることは、日本のワイン文化を育み、業界全体をさらに豊かにしていく力になると信じています。
これからも、生産者とワインを愛する皆様をつなぐ橋渡し役として、ワインの価値や楽しさを分かりやすく伝えていきたいと思います。
そして、「あの人の話を聞きたい」「また会いに行きたい」と思っていただけるようなソムリエになること。それが、これから目指していく姿です。



国際的なワインや日本酒コンペティションで、審査員を務めています。