ワインの豆知識

WSETとの出会い
カタール航空編

2026年3月19日

「ワインの世界って、こんなにも面白くて奥深いものだったのか」

今振り返ると、ワインを楽しむきっかけとなったのはWSETとの出会いでした。

前職は中東の航空会社で海外ベースの客室乗務員として働き、仕事で世界中を飛び回る日々を送っていました。フライトの合間に時間があれば、滞在先でワイナリーツアーに参加したり、レストランでその土地のワインを楽しんだりと、現地ならではの体験をすることが何よりの楽しみでした。

甘酸っぱくてジュースのように親しみやすいものから、しっかりとした渋みを感じるもの、花のようにエレガントな香りを持つものまで、ワインには実にさまざまな表情があります。

「自分の好きなスタイルを見つけてみたい」そんな軽やかな気持ちでワインの世界に興味を持ったことが、後に人生の軸になるとは、この時は想像もしていませんでした。

新卒で入社したカタール航空では、その当時ビジネスクラス以上を担当する客室乗務員に向けてWSET Level1を受講する機会がありました。

WSET Level1は、ワインサービスに関わる方に向けた入門資格で、主要なワインのスタイルや代表的なブドウ品種、品質管理、ペアリングの基本などを体系的に学ぶことができます。

私もビジネスクラスとファーストクラスを担当していたため、この講座を受講することになりました。

参加した回の講師は、なんとマスター・オブ・ワイン(MW)。当時の私にとっては、その肩書きがどれほど特別なものなのかもよく分かっていませんでしたが、世界でもごく限られた人しか取得できない資格だと知り、ワインの世界の奥深さを遠くに感じたことを覚えています。

当時暮らしていたドーハ(カタール)では、アルコール規制が厳しく、限られたホテルなどでしかお酒を楽しむことができませんでした。そのため、日常生活の中でワインに触れる機会はほとんどなく、ワインはどこか特別な飲み物という印象でしたし、ワインは白・ロゼ・赤の中にもこんなにもたくさんの品種やスタイルがあるなんて想像もしていませんでした。同じ産地・品種を頼んでいるのに、想像とは違うものが出てくるときもあり、がっかりすることもありました。

Level1を受講した後、機内で提供されているワインのラインナップを改めて見たとき、その世界がぐっと身近に感じられるようになりました。当時のワインリストはシャンパーニュが2種類、赤・白がそれぞれ2種類、そしてポートワインが1種類のセレクションが揃っていて、その違いに興味を持ち始めました。

これまで何気なく提供していたワインも、学びを通して見ると、その背景やスタイルが少しずつ理解できるようになります。お客様に英語でご案内する際も、以前よりスムーズに説明できるようになり、自分の中で小さな自信が芽生えてきました。

滞在先や旅行中に訪れるレストランでも、ワインリストを見ながら自分の好みを伝えたり、スタッフと会話をしながらボトルを選んだりと、ワインを通してコミュニケーションの幅が広がっていく感覚がありました。

あの時はまだ、ワインを仕事にする未来など想像していませんでしたが、この小さな成功体験と学びが、私をワインの世界へと導いてくれていたのだと思います。