ワインの豆知識

ETPとは? ― WSET公認講師になるためのプログラム

2026年3月4日

ETPとは Educational Training Program の略で、WSET公認講師(Nominated Educator)になるための研修プログラムです。
少し分かりにくい仕組みではありますが、WSETの認定スクール(APP:Approved Programme Provider)には、少なくとも1名の公認講師が在籍していればよく、他の講師が必ずしも公認である必要はありません。
ETPはワインだけでなく、SAKE、スピリッツ、ビールの各分野にも用意されています。
今回、キャプランワインアカデミーでは、これまでETP未受講だった講師がワインのレベル1〜4のETPを受講しました。

ETPを取得するメリット

① WSET公認プログラムプロバイダー(APP)としてスクールを開講できる
ETPを修了し、条件を満たせばAPPとしてWSETプログラムを提供することが可能になります。
ただし、競合状況、市場ポテンシャル、集客方法、事業計画など、明確なビジネスプランが求められます。

② WSET認定講師としての責務
Nominated Educatorになると、単に授業を行うだけでなく、
• ワインの選定
• ETP未取得講師の教育・サポート
• WSET基準に沿った授業品質の維持
といった役割も担います。

WSETの理念は「世界中どこでも同質の教育を提供すること」。
そのため、国や地域が変わっても、同水準の教育を提供する責任があります。

③ WSET独自の教授法を学べる
ETPの大きな特徴は、WSETメソッドの教授法を体系的に学べることです。
一般的なスクールの講義スタイルとは大きく異なり、
• 生徒役
• フィードバック役
• 講師役
をローテーションしながら、理論とテイスティングの実践を徹底的に行います。

私自身、WSETレベル1〜3を約3年間教えてきましたが、ETPを受講して自分の教授法を大きく見直す必要があると痛感しました。
結果として、生徒様の満足度向上につながっていると実感しています。

④ レベル3テイスティング試験のワイン選定・採点が可能に
ETP合格後、追加プログラムを受講することで、
WSETレベル3テイスティング試験のワイン選定および採点に関わることが可能になります(※詳細は割愛します)。

ETP取得のプロセス

ETPは対面またはオンラインで受講可能です。
ただし、レベルごとに受講条件があります。
• レベル2を教える → レベル3修了が必要
• レベル3のETPを取得する → レベル4修了が必要などの制約があります。
私は対面で受講しました。
月曜〜木曜の4日間+金曜試験、午前9時〜午後5時まで、丸一日WSETメソッドを徹底的に叩き込まれます。
• 模擬授業
• テイスティング実践
• フィードバック訓練
• 理論確認
非常に濃密な5日間でした。

合格率は国や地域にもよりますが、概ね6〜7割程度と言われています。
受講は英語のみで、当然ながら費用も発生します。

キャプランワインアカデミーの取り組み

キャプランワインアカデミーでは、すべての講師がETPを受講しています。
そのため、WSET基準に沿った標準化されたクラスを提供しています。

ETPを受けて感じたこと

私にとってETPは、単なる資格取得ではなく、
「良い教育とは何か」を改めて考えさせられる機会でした。

WSETメソッドの特徴を簡単にまとめると、

レベルが上がるごとに、講師の役割が変わる
• レベル1・2
初級者向け。講師主導型の授業が中心。
• レベル2後半〜レベル3
それまでに学んだ内容は理解している前提。
講師は一方的に教えるのではなく、生徒への質問を通して知識を引き出す。
• レベル3以降
アクティブラーニングが中心。
既習事項を再度教えることは基本的にせず、
生徒自身に考えさせ、応用させることが重要になります。

最も重要なのは「Application Skills」
単なる暗記ではなく、
• 醸造
• 栽培
• ビジネス
• 各国・各地域のスタイル
• 価格と品質の関係性
これらを結びつけて考える力を養うことが最大のゴールです。

実際の研究でも、「自ら考え、発言する」ことは記憶定着率を大幅に高めると言われています。
ただ座って講義を聞くだけでは、学習効果は限定的です。

まとめ

ETPは簡単なプログラムではありません。
しかし、講師として大きく成長できる貴重な機会でした。
WSETメソッドは、知識を教えるのではなく、
考える力を育てる教育だと、改めて実感しています。
これからも、この学びを授業に活かしていきたいと思います。

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