Ettore Wine Column #02

大彗星のヴィンテージ

2017年12月25日

1811年10月、ヨーロッパのワイン生産者は例年通り収穫中でした。しかし、夜空に目を向けると、一生に一度しか見られない宇宙の不思議な現象があったのです。それは1811年の大彗星、今から206年前の出来事です。

大惑星がワインの栽培に直接の影響を及ぼすことはありませんが、その年のワインは非常に素晴らしく、1811年は「大彗星のヴィンテージ」とも呼ばれています。まさに “伝説の年” です。

恐らく世界にまだ何本か残っているかと思いますが、とんでもない高値がつけられています。特に、「1811年 シャトー・ディケム」はロバート・パーカー氏に「最高の100点ワイン」と称賛され、2011年に1本 約1,200万円で販売されました。またその年、ヴーヴ・クリコでは、世界で初めてルミュアージュを使って、濁りのない近代的なシャンパーニュを醸造しました。

その後も大彗星のヴィンテージと呼ばれるヴィンテージが何件かありましたが(1861年・1989年・・・)、最も有名なのは1811年です。近年では2007年と2011年に大彗星が南半球に見えましたが、ヨーロッパで最近見られたのは20年以上前になります。そして、次にいつ飛んでくるのかはまだ分かりません。

次の「大彗星のヴィンテージ」はいつ来るのでしょうか。よいワインを飲みながら星空を眺めてみませんか?